公益財団法人 日本板硝子材料工学助成会

各講師から一言(研究テーマの今後への思い)
守谷 頼 (東京大学生産技術研究所)

研究を始めた動機は単純にどうなってるか知りたい、論文を見ても誰も調べてないので自分で確かめてみたい、という純粋な興味からでした。実際に研究を始めてみると、今までに知られていなかった固体の相転移現象に関する新しい知識を得ることができました。金属から絶縁体に室温付近で相転移する物質は温度によって光の透過率が変わる窓材としての応用が検討されています。私の研究が世界の省エネルギー化に貢献できるよ うな成果につながることを目指して日々実験を行っています。

谷井 孝至 (早稲田大学理工学研究院)

神経科学なる学際分野に材料と電子光工学という立場から挑戦しました。具体的には、酸化チタンの光触媒能を活用して、培養液中で自在に神経細胞をパターニングする要素技術を構築し、個々の神経突起同士の接続を制御することで、所望の神経回路を基板表面に実現しようとするものです。半導体素子の究極的な微細化により発展を遂げた今日のコンピュータでも、その機能の多くはヒトの脳に及びません。どのような情報処理が、例えば人の感情につながるのか?を知るために、まったくの手探りで研究を進めています。

吉田 智 (滋賀県立大学工学部材料科学科)

ガラスの脆さは,ガラス材料が抱える克服すべき課題の一つです。容易に答えが見つかる問題ではありませんが,取り組み続けるに値する難問だと考えます。今回報告する成果では,「破壊」と「表面」の関係の重要性を改めて提示します。破壊という結果に至る原因は様々で,答えは未だその複雑性の中にありますが,ガラス表面の改質がガラス脆性を克服するためのキーワードの一つと考え,今後も研究を進めていく所存です。

藤原 忍 (慶應義塾大学理工学部応用化学科)

蛍光体を、情報を可視化する手段として使えないかという研究をしています。そのため、光るという機能に加えて、その光り方を外的な要因で制御するスキームを考えています。本研究では、化学的環境の変化を蛍光強度の変化としてとらえる仕組みづくりをしていますが、将来的には電場、磁場、圧力など物理的な変化を可視化するものへと発展させていきたいと思っています。

脇谷 尚樹 (静岡大学創造科学技術大学院)

生体親和性の高いハイブリッド磁性微粒子はハイパーサーミア応用のみならず、磁性体ナノ粒子を用いたイメージング分野への応用も考えられます。また、本研究は現在磁性体の表面を薄いシリカ層でコーティングする技術に発展的に展開しておりますが、このようなコアシェル構造を有するハイブリッド磁性体微粒子は例えばナノグラニュラー薄膜のような分野への応用も可能であるため、本研究成果を今後更に発展させていきたいと考えています。

<事務局より>

研究の発表は、通常、事実のみを客観的に説明するものですが、今回、各講師にお願いして、 あえて、研究テーマの今後への熱い思いを書いて頂きました。レジュメ、講演に加えて、
これらが本日お集まりの皆様と各講師との意見交換・交流のきっかけになればと願っています。 懇親会にもぜひご参加ください。


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