公益財団法人 日本板硝子材料工学助成会

各講師から一言(研究テーマの今後への思い)
阿部 竜(京都大学 大学院工学研究科)

持続可能社会の実現には、化石資源を代替しうるクリーンなエネルギーキャリアの開発が必須であり、その候補の1つとして「水素」が注目されています。 我々は、安価な「半導体光触媒」を用い、太陽光エネルギーを利用して水を水素と酸素へと分解する研究を進めています。 特に、実用的な水素製造効率を実現するために、太陽光スペクトルの大部分を占める「可視光」を効率的に利用できる新規光触媒材料の開発を進めるとともに、 実用化の際に必須となる「水素と酸素の分離生成」が可能なシステムの構築も検討しています。

加藤 岳仁(小山工業高等専門学校 機械工学科)

有機材料と無機材料にはそれぞれの特徴があります。有機材料と無機材料を様々な技術で複合化させることは単独の機能では実現できなかった新しい機能や機構を発現させることが可能となります。 「産学官」の連携による風通しの良い研究環境の中で『有機無機ハイブリッド材料』と『塗布プロセス』をキーワードに新しい高機能な電子素子やデバイスの開発を目指しています。

須田 聖一(静岡大学 大学院総合科学技術研究科)

研磨における「化学的作用」の本質について明らかにしていきたいと思い,研究を進めています。研磨における化学反応は, せん断応力の印加が引き起こす酸化還元を伴う化学反応,言うなれば電気化学反応であるとの仮説もと,新しい実験装置の設計から取り組んできました。 当初はノイズとの格闘の日々でしたら,ようやく再現性の良いデータが得られるところまで進んできました。定量的なデータを積み重ね,化学研磨の本質を紐解きたいと考えています。

丸尾 容子(東北工業大学 工学部環境エネルギー学科)

生体ガスと疾病の関係が明らかにされ、その計測を生活習慣の管理や予防医学へ適用する研究が始まっています。 生体ガスは人間の状態を刻々と発信してくれる物質の集合体であり、それを高感度で効率よく検出するには多孔質ガラスとその微小な空間の中で起こる化学反応を用いる方法が適していると考えています。 本研究では一酸化窒素の計測について述べますが、多種類の生体ガス物質の検出を可能にし、人々が家庭において非侵襲で日々の健康管理ができるシステムの実現を目指して研究に取り組んでいます。

張 浩徹(中央大学 理工学部応用化学科)

電子とプロトンは我々化学者が操ることができる最小単位です。これらの局在、移動、拡散等に多様な物理化学的現象が生じるばかりで無く、多様な機能が物質に付与されます。 化学反応も例外ではなく、化学物質の変換、反応は電子とプロトンの移動と等価であると言えます。 我々は自然界がそうしているように安価な金属と電子・プロトンをプールする能力を持つ有機化合物を融合させ、新しい化学エネルギー制御法の開発に向け日々研究を行っています。 本日は日本板硝子材料工学助成会よりご援助頂きました研究成果を含め紹介します。

<事務局より>

研究の発表は、通常、事実のみを客観的に説明するものですが、今回、各講師にお願いして、 あえて、研究テーマの今後への熱い思いを書いて頂きました。レジュメ、講演に加えて、これらが本日お集 まりの皆様と各講師との意見交換・交流のきっかけになればと願っています。懇親会にもぜひご参加ください。


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