ベーマイト(AlO(OH))は水酸化酸化アルミニウムとも呼ばれ、アルミニウム原子に酸素原子6個が配位した構造を持つ。表面酸素は水酸基として存在しており、いわば酸化アルミニウムが層状に水素結合で重なり合い、一つのブロックを構成している。そこで、ベーマイトの表面水酸基を利用して、有機化合物の置換反応を行えば、ベーマイトを原料にして様々なアルミニウム配位化合物を合成できることになる。
本研究では、ベーマイトの名で知られる水酸化酸化アルミニウム(AlO(OH))がカルボキシ基と反応することに注目し、分子自己組織化を利用して、ベーマイト粒子をガラス表面に固定した上で、これを焼成することにより、表面の適度な凹凸により撥水性を示すアモルファスベーマイト薄膜の構築を目指す事にある。実験としては大まかに次の3工程から成る。1,ガラス基板上における有機シラン化合物の自己組織化単分子膜(SAM)の形成。2,SAM上へのベーマイトナノ粒子(粒径約10nm)の固定。3,加熱あるいはマイクロ波照射アニーリング処理によるアモルファスベーマイト構造への変換。このようにしてガラス表面にアモルファスベーマイト薄膜による超撥水性加工を行う新しい研究である。その研究成果が大いに期待される。
|