西中 浩之(京都工芸繊維大学 電気電子工学系)
ミストCVD法を用いた酸化物材料の形成技術についての研究に取り組んでいます。
ミストCVD法を学生の時に開発してから、今では様々な人が利用してくれるようになりました。
当時はこんな手法で単結晶の綺麗な材料ができるはずがないということをよく言われました(今でも言われることがあります)が、少しずつ花が開きつつあると感じています。
現在はその時の装置開発の経験を活かして、新しい材料の開拓を目指して研究をしております。
理由はまだ調査中ですが、ミストCVDだからこそ作製できるような材料もあり、そのような材料が持つ新しい機能をうまく利用したデバイスの開発を行っていきたいと考えています。
斎藤 全(愛媛大学 大学院理工学研究科)
鉛を含まない光学ガラスの開発に取り組んでいます。
屈折率を大きくする、光弾性定数を小さくするためには、酸化物ガラスに鉛を高濃度に入れる必要がありますが、これからは環境に負荷をかける鉛ガラスは製造ができない、廃棄できないという現実的な問題が存在します。
私たちは、鉛ガラスと同等の機能性を持ち、有害元素を含まない組成からなる酸化物ガラスを探索しています。
鈴木 登代子(神戸大学 大学院工学研究科応用化学専攻)
高分子や微粒子分散系に代表されるソフトマターは化粧品や電子製品などの多くの分野で使われており、日常生活においても必要不可欠な機能性材料です。
私の所属する研究グループは主に高分子合成をベースに界面や局所場での材料創製および機能発現法の開発を追求しています。
新規なソフトマター創製法の概念構築は、熱力学的な因子だけでなく速度論的な因子によっても大きく異なり、不均一系特有のコンセプトが必要となります。
本研究では、ポリマーカプセルを反応場として利用し、カプセル内にてゾルゲル反応することにより、ひとつもしくは複数のシリカ粒子を内包したポリマーカプセルを作製法を提案しています。
田邉 豊和(防衛大学校 機能材料工学科)
エネルギー問題の根本解決には無尽蔵の再生可能エネルギーである太陽光エネルギーの変換システム構築が必須です。
その中で、研究対象の太陽光駆動型Sn3O4光触媒は,光触媒研究とは全く別の研究において偶然発見した材料です。
Sn3O4粉末を初めて見た時に「スズ酸化物なのになぜ黄色なのか?」という素朴な問いから始まった光触媒研究であり、水素発生能の高さを利用したのが今回の水分解反応の成果です。
単純なスズ酸化物でありながらその光触媒としての潜在能力は研究が進むごとに驚きを与えてくれます。
ありふれたシンプルな材料系においても、研究者が十分にポテンシャルを引き出してあげることで社会問題解決の突破口となると信じ,研究を進めています。
鎌田 慶吾(東京工業大学 科学技術創成研究院フロンティア材料研究所)
持続可能な社会構築のためにも、様々な化成品を低エネルギーで作りCO2排出量を削減することは急務です。
中でも、我々は基幹反応の一つである難易度の高い選択酸化反応を可能とするような固体触媒の開発に取り組んでいます。
東京工業大学への異動を機に開始した金属酸化物触媒のナノ構造制御手法・物質合成技術をさらに発展させ、優れた触媒技術の開発に繋げると共に、異分野との積極的な融合により新たなイノベーションを目指して研究を展開したいと考えております。
<事務局より>
研究の発表は、通常、事実のみを客観的に説明するものですが、今回、各講師にお願いして、あえて、研究テーマの今後への熱い思いを書いて頂きました。
レジュメ、講演に加えて、これらが本日ご参加の皆様と各講師との意見交換・交流のきっかけになればと願っています。
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